【6月16日 AFP】(一部更新、写真追加)ケニア西部の沿岸の町ムペケトニ(Mpeketoni)が15日夜、黒い旗を掲げたイスラム武装勢力とみられる50人ほどの集団の襲撃を受け、地元当局によると少なくとも49人が死亡した。住民の証言によれば、武装集団はまず警察署を襲撃し、続いて市民に向けて無差別に発砲したという。

 撃たれた民間人の中には、ホテルや地元のバーでサッカーW杯ブラジル大会(2014 World Cup)をテレビ観戦していた人たちもいたという。

 ケニア軍のエマニュエル・チルチル(Emmanuel Chirchir)報道官(少佐)は、武装勢力について国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)系のソマリアのイスラム過激派組織アルシャバーブ(Shebab)の可能性が高いと語った。

 襲撃が始まったのは午後8時ごろで、地元当局者やケニア軍によると約50人の武装集団が車3台に分乗して現れ、市内各所で人々に向かって発砲し始めた。ホテルやレストラン、銀行、自治体庁舎などが放火されたという。集団は黒いアルシャバーブの旗を掲げ、ソマリ語で話し「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいたという。ムペケトニでは激しい銃撃戦が16日未明まで続いたが、明け方以降は静けさを取り戻している。

 AFPの取材に応じた地元女性(38)は、武装集団が自宅に押し入って来たと証言した。女性は夫と共に寝室に隠れていたが見つかってしまい、夫は居間に連れ出されて金を出すよう要求されたという。夫は金を渡したが、直後に至近距離から射殺されたという。「彼らは私に、アルシャバーブを知っているかと尋ねた。それから、ケニア政府がソマリアから軍を撤退させないので、私たちを未亡人や孤児にしてやるため来たと語った」と、この女性は話した。

 ムペケトニは、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産に登録されている古代建造物群があり観光客が多く訪れるラム(Lamu)島から南西約30キロに位置し、ケニア沿岸部の主要道路が通る流通の中心地。(c)AFP