【6月6日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は、東南アジア・メコン川(Mekong River)流域の大メコン圏(Greater Mekong)で2012年~13年に見つかった動植物367種を最新の報告書で発表した。リストには背中の曲がったコウモリや巨大ムササビなどが含まれている。

 タイ、カンボジア、ミャンマー、ベトナム、ラオスの5か国に中国南西の雲南(Yunnan)省を加えた大メコン圏で新たに確認された367種の大半は植物だが、魚類24種、両性類21種、爬虫(はちゅう)類28種、鳥類1種、哺乳類3種も見つかっている。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されているベトナムのハロン湾(Ha Long Bay)に近いカットバ(Cat Ba)国立公園では、脊柱が湾曲したコウモリが見つかった。ほかにも、「スカイダイブ」するヤモリや虹色のトカゲ、頭部に怪傑ゾロ(Zorro)の黒いマスクのような模様があるミズヘビ、口の脇に生殖器がある小型魚類などが見つかっている。

 その一方でWWFは、持続不可能な開発や食用としての野生動物肉や高級木材に対する需要の急増で、新種のほぼ全てが近く絶滅の危機にさらされるだろうと警告した。

 WWFの生物専門家、トーマス・グレイ(Thomas Gray)氏によると、東南アジアは陸生哺乳類の絶滅危惧種の割合が地球上で最も高い。今回発見された新種の一つである巨大ムササビが発見された場所はラオスの野生動物肉市場で、野生ではまだ確認されていない。

 報告書は「壊滅的な」野生生物の不正取引総額は今や年間160億ドル(約1兆6400億円)を超えていると指摘し、「野生生物取引は、地元での消費に加え高級品としての世界向け野生生物製品市場によって活発化しており、メコン川流域における生物多様性の最大の脅威の一つとなっている」と警告した。(c)AFP