各国と中国の関係は、その全てが正常に戻ったわけではない。欧米諸国や日本は現在も頻繁に中国と人権問題に関する協議を行い、中国への武器売却を拒否している。ただ、フランスは過去に欧州連合(EU)による禁止措置を解除するよう呼び掛けたことがある。

 だが中国は日に日に強硬姿勢を強めている。習近平(Xi Jinping)氏が昨年、国家主席の座に就いて以来、中国は近隣諸国と争う海洋の領有権を強く主張するようになった。世界の指導者たちは、温暖化、北朝鮮、イラン、スーダンなどさまざまな問題で中国の影響力を求めるようになった。

 メリーランド大学ボルティモア郡校(University of Maryland-Baltimore County)で米外交史を教えるウォーレン・コーエン(Warren Cohen)教授は「天安門のしこりはほぼ消え去ったようだ」と言う。「何か事件があったり、誰かが書いたりして、ときどき人権問題が話題にはなる」「だが、中国に対する今までのメッセージははっきりとしている。『私たちにとって(対中)関係は、中国の自国民に対する扱いよりもはるかに重要』だ」

 しかし米当局者らは、中国では天安門事件から25年の節目を前に、反体制派の拘束や少数民族の弾圧などが激化し、人権問題が悪化していると指摘する。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights WatchHRW)の中国代表、ソフィー・リチャードソン(Sophie Richardson)氏は「経済成長が市民の権利や政治活動の自由をもたらすと期待してはいけない。中国がそれを示している」と言う。

 ロード氏は、米政府は人権問題で中国にさらに圧力を掛けるべきだとする一方で、「中国政権が自分たちの保身を最優先事項としていることに鑑みると」、環境などの「より安全な」問題を強調する方が効果が大きいのではと指摘している。(c)AFP/Shaun TANDON