【6月2日 AFP】オーストラリアのデービッド・ジョンストン(David Johnston)国防相は、中国が南シナ海(South China Sea)の「安定を損なっている」と非難したチャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)米国防長官の談話への支持を表明した。

 ヘーゲル米国防長官は先月31日、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で「中国はここ数か月、南シナ海での主張を通すため、安定を損なう一方的な行動を取っている」と非難した。会議冒頭では日本の安倍晋三(Shinzo Abe)首相も、暗に南シナ海・東シナ海における中国の行動を示唆しつつ関係各国に「法の支配」の尊重を求めた。

 中国側はこれに対し、ヘーゲル長官や安倍首相の発言は「挑発的だ」と反発している。

 ジョンストン豪国防相は、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルド(Sydney Morning Herald)がシンガポールで行い2日の紙面に掲載したインタビューで、日米の見解に支持を表明。「米国、豪州、日本は、特に南シナ海で、そして東シナ海での一方的な行為が地域の安定を損なっていることを非常に懸念している」と述べた。

 また、ヘーゲル米長官の談話を支持するかと尋ねられると、ジョンストン氏は「これまで非常に成功しアジア太平洋諸国に大きな繁栄をもたらしてきた地域の安定が損なわれているという点で、同意する」「この不安定な状況は不当であり、将来の経済の展望にとっても相当に打撃をもたらすものだ。従って、ヘーゲル長官の懸念は私も共有している」と答えた。

 その上でジョンストン氏は、中国と他国の間で争われている領有権問題でオーストラリアはどちらの肩を持つこともしないが、アジアの大国である中国に「別の道」があるとの説得を試みたいと述べた。

 AFPの取材に対し、豪国防省はヘラルド紙に掲載されたジョンストン氏の発言は正確だと認めた。(c)AFP