【5月28日 AFP】今月リビアの新首相に指名された実業家アフメド・ミティグ(Ahmed Miitig)氏(42)の居宅が27日、武装集団に襲撃された。治安悪化の懸念が高まり、米政府はリビア国内にいる米国民に「即時」出国するよう勧告している。

 リビアでは2011年の民衆蜂起によってムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐による長期独裁政権が崩壊して以降、ミティグ氏が5人目の首相となった。ミティグ氏は前任者のアブドラ・シンニ(Abdullah Thinni)氏が家族ともども襲撃されたとして4月に辞任した後、制憲議会(国会)での投票の混乱を経て新首相に任命されたばかり。

 ミティグ首相の側近によると27日午前3時(日本時間同10時)ごろ、首都トリポリ(Tripoli)にある「首相の居宅がロケット砲と小火器で攻撃がされた」と語った。首相と家族は当時、家の中にいたが無事脱出した。警備員による発砲で武装集団のうち2人が負傷し拘束された。

■米政府は海兵隊1000人配備し警戒

 一方、米国務省は最新の渡航勧告で、リビア国内にいる米国民に「即時出国」するよう勧告している。リビアの政情不安が悪化し、民兵集団らによる戦闘で国土が混乱に陥っているためだ。

 同省の渡航勧告では「治安上の懸念により、米国務省は在リビア米大使館の人員を限定したため、リビア国内にいる米国民に対し、非常に限られた緊急業務しか提供できない。リビアにいる外国人、特に米国人は、米政府もしくは米国系NGOの関係者とみなされるだろうことから、旅行者は誘拐や襲撃もしくは殺害の標的となる可能性を自覚する必要がある。現在リビア国内にいる米国民には、最大限の警戒と即時出国を勧告する」と述べている。

 27日朝、米政府は米大使館の避難が必要となった場合に備え、リビア沖に海兵隊員約1000人を乗せた強襲揚陸艦を派遣すると発表している。(c)AFP