【5月25日 AFP】第67回カンヌ国際映画祭(Cannes Film Festival)の授賞式が24日に行われ、トルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン(Nuri Bilge Ceylan)監督の『Winter Sleep』が、最高賞パルムドール(Palme d'Or)を受賞した。

 同賞を決めるコンペティション部門には他にも、デヴィッド・クローネンバーグ(David Cronenberg)監督やジャン・リュック・ゴダール(Jean-Luc Godard)監督、さらには『アーティスト(The Artist)』でアカデミー賞を受賞したミシェル・アザナヴィシウス(Michel Hazanavicius)監督など17人が出品していた。これらの強豪をおさえ賞を手にしたジェイラン監督には、プレゼンターを務めたクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)とユマ・サーマン(Uma Thurman)からトロフィーが授与された。

『Winter Sleep』は、田舎の小さなホテルを舞台に、経営する家族の張りつめていく関係を描いたドラマで、上映時間が3時間を超えるにもかかわらず観客を魅了し、評論家らに絶賛されていた。

 ジェイラン監督は、昨年トルコを震撼させた暴力的な反政府デモで命を落とした若者らにこの賞を捧げるとコメントした。

 女優賞は、米ハリウッド(Hollywood)の映画業界を鋭く風刺したクローネンバーグ監督の『Maps to the Stars』で浅はかな女優を演じたジュリアン・ムーア(Julianne Moore)が受賞。

 男優賞は、19世紀の英国の画家ターナー(JMW Turner)の史実に基づく波乱万丈な人生を描いたマイク・リー(Mike Leigh)監督の『Mr. Turner』に主演した、英俳優ティモシー・スポール(Timothy Spall)が受賞した。

 監督賞は、大富豪のジョン・デュポン(John du Pont)がレスリングのオリンピック選手を殺害したとされる実話を基にした米映画『Foxcatcher』のベネット・ミラー(Bennett Miller)監督が獲得。

 最高賞に次ぐ審査員特別グランプリは、養蜂家一家の田舎暮らしを叙情的な視点で描いた『The Wonders』のアリーチェ・ロルヴァケル(Alice Rohrwacher)監督が受賞した。イタリア人のロルヴァケル監督は、コンペティション部門に出品した女性監督2人のうちの1人。

 3位に相当する審査員賞は、革新的なドラマ『Mommy』のグザヴィエ・ドラン(Xavier Dolan)監督と3Dの狂想劇『Goodbye to Language』のゴダール監督がともに受賞した。25歳のドラン監督と83歳のゴダール監督はそれぞれ、コンペティション部門に出品した監督のうち最年少と最年長。

 脚本賞は、アンドレイ・ズビャギンツェフ(Andrei Zvyagintsev)監督による、現代ロシアにはびこる職権乱用を糾弾した壮絶なドラマ『Leviathan』に贈られた。(c)AFP/Deborah COLE