【5月23日 AFP】ニュージーランドの国鳥キウイの祖先はこれまで、オーストラリアの大型鳥類エミューだと考えられていたが、それよりもアフリカのマダガスカルにかつて生息していたエピオルニスという巨大鳥類に最も近いと、研究者らが23日発表した。

 米科学誌サイエンス(Science)に掲載されたこの研究に取り組んだのは、豪アデレード大学(University of Adelaide)オーストラリア古代DNAセンター(Australian Centre for Ancient DNAACAD)のチーム。ニュージーランドのテパパ・トンガレワ(Te Papa Tongarewa)国立博物館に保管されていたエピオルニスの古代の骨のDNA解析を行った。

 絶滅したエピオルニスは体長2~3メートル、体重は275キロ前後とされ、ニワトリほどの大きさのキウイとはまったく似ていない。しかしこのDNA解析で、この2種の鳥類が遺伝的に極めて近いことが判明した。さらに、飛べないとされてきたこの2種が、かつては空を飛んでいたことも分かった。

 研究者らはこの発見が、南半球の大陸各地に現存するエミューやダチョウなど「ダチョウ目」と分類される飛べない大型鳥類の起源に関して、進化論上150年間謎に包まれてきた疑問を解消する一助にもなったとしている。

 同センター研究員のキーレン・ミッチェル(Kieren Mitchell)氏は「この結果はほとんど予期していなかった」と驚きを隠さず、「ニュージーランドとマダガスカルは南極やオーストラリアを経由しても物理的に遠く離れており、ダチョウ目はかつては空を飛んで世界に分散していったはずだ」と述べている。

 1990年代の先行研究では、今日も生息している鳥類のうち最もキウイに近い仲間はオーストラリアのエミューやヒクイドリだとされていたが、その説は今回発表された研究で覆された形となった。

 その先行研究を手掛け、現在はACADの所長を務めるアラン・クーパー(Alan Cooper)氏は、新しい研究成果を発表する声明で「ニュージーランド人は以前、国鳥キウイがオーストラリアから飛来してきたと聞いてショックを受けがっかりしていたが、今回ようやく記録を正すことができて良かった」と述べている。(c)AFP