【5月21日 AFP】領海をめぐる周辺国との争いについて国際的な批判が高まっている中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は20日、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と上海(Shanghai)で首脳会談を行った。

 プーチン大統領の訪中は習氏の国家主席就任後初めて。中国国営新華社(Xinhua)通信によると習氏は会談でプーチン氏を「わが旧友」と呼び、多極化した世界を作るには戦略的パートナーシップの構築が必要だと述べた。

 プーチン氏は昨年900億ドル(約9兆円)だった両国間の貿易を、航空・宇宙・製造・エネルギー分野の協力を通じて2015年までに1000億ドル(約10兆円)に増やそうと呼び掛けた。

 両国はエネルギー、電力、航空、通信分野で「多くの合意」に署名したと国営メディアは報じた。しかし長年の交渉を経てようやく妥結するとの見方があったロシア産天然ガスの中国への輸出については価格が障害になり、プーチン氏が「交渉に大きな進展があった」と述べるにとどまった。

 両首脳は会談後に合同軍事演習の開会式に出席。白い制服に身を包んだ両国海軍の将校らが整列した開会式の式場で、習国家主席が演習の開始を宣言した。この模様は中国中央テレビ(China Central TelevisionCCTV)でも伝えられた。

 中国政府によると、両国の水上艦14隻が参加し、東シナ海(East China Sea)上で7日間にわたって行われる演習は、「海上の脅威」への対応能力を強化するためのもので、実弾射撃訓練も行われる。中国の国営メディアによると、両国が中国の領海で合同演習を行うのは、3年連続となる。

 両首脳は21日、上海で開かれるアジア信頼醸成措置会議(Conference on Interaction and Confidence Building Measures in AsiaCICA)の首脳会合に出席する。

 英国のシンクタンク、王立統合防衛安全保障研究所(Royal United Services InstituteRUSI)のテロリズム専門家ラファエロ・パントゥーチ(Raffaello Pantucci)氏は、「中国は海上で発生している事態について相当に動揺の度合いを深めており、ロシアからの支援を見込んでいる」と説明した。「ロシアは存在を誇示するために、国際舞台で支援したがっている」。(c)AFP/Bill SAVADOVE