【5月20日 AFP】ハッカーたちが世界で50万台のコンピューターをウイルスに感染させ、データを盗んだり金銭を要求したりことを可能にしたとして、欧州と北米の警察当局は19日までに、マルウエア(悪意のあるソフトウエア)「ブラックシェイズ(Blackshades)」の関係者100人近くを一斉摘発した。

 米当局が19日明かしたところによると、ブラックシェイズは安いものはわずか40ドル(約4000円)で販売されており、サイバー犯罪者たちの間で大量に売れていた。パソコンを離れた場所から遠隔操作することができるリモートアクセスツール(RAT)と呼ばれるソフトの1種で、これを使ってハッカーは他人のコンピューター内の写真やパスワードにアクセスしたり、ウェブカメラを通して家の中をのぞき見したりできる他、コンピューターがメッセージを大音量で読み上げるようにしてユーザーを驚かすといった嫌がらせも発生した。

 さらに、データをロックしたり、ウェブサイトを破壊したりした後に脅迫状を送り、ロックの解除やサイトの復旧と引き換えに金銭を要求するといった事件も発生している。

 米連邦捜査局(FBI)によると、ブラックシェイズは100を超える国に6000以上の顧客を持ち、2010年9月~14年4月の売上額は35万ドル(約3500万円)相当に上った。またプリート・バララ(Preet Bharara)連邦検事によると、2010~14年の間に「ブラックシェイズ」が感染したコンピューターは50万台に上った。

 バララ検事は、ブラックシェイズは専用サイトで簡単に購入でき、感染を拡大するための機能もあったため、被害が広がったと指摘している。

 欧州警察機関(ユーロポール、Europol)と欧州検察機関(ユーロジャスト、Eurojust)によれば今回16か国でブラックシェイズの開発者、販売者、ユーザーが捜査対象とされた。各国当局やFBIは2日間で359件の家宅捜査を行い、97人を逮捕した他、大量の現金、違法所持されていた銃や薬物、1000を超えるデータ記憶装置を押収した。(c)AFP/Jennie MATTHEW