【5月20日 AFP】新興国で急増が予想されるチョコレート需要を満たすため、カカオ豆を大幅増産しなければ、チョコレート好きは「苦い思い」をするかもしれないと、業界大手の経営者が警告している。

 食品メーカーやパティシエなどの職人を顧客とするスイスのチョコレート製造会社バリーカレボー(Barry Callebaut)のユルゲン・シュタイネマン(Juergen Steinemann)最高経営責任者(CEO)は、同社の現在の業績が好調であるにもかかわらず、今後の展望に関する懸念を隠さない。

 同社は、急成長する新興国市場の恩恵を受け、現在の業績は好調だとみてきた。新興国での売り上げは、2013年に約20%増加し、今や同社全体の25%を占めている。

 だが、新興国で需要が急スピードで拡大すれば、カカオ豆の大きな不足が生じることになる。現在の新興国の国民1人当たりの年間チョコ消費量は50グラムと、欧米の10~12キロを大幅に下回る。

 シュタイネマンCEOは、1人当たりの消費量が50グラムから2キロに増加しただけでも、カカオ豆の需給が大きく逼迫(ひっぱく)すると懸念する。

 国際コーヒー機関(International Coffee OrganizationICO)によると、昨年394万2000トンだった世界のカカオ豆生産量は、2014年には410万4000トンに増加すると予測されているが、2年連続で需要を下回る見込みだという。世界のカカオ豆の4分の1を供給するバリーカレボー社は、需要増に対応するため、世界生産量を20年までに500万トンへ引き上げる必要があるとみている。

 だが、どうやって生産を拡大するのかとの問いに答えるのはそう簡単ではない。同社のフィリップ・ジャンビエ(Philippe Janvier)副社長によれば、カカオ豆の価格は過去1年間で3割ほど上がったが、農家の人たちはカカオ豆よりもアブラヤシやバナナの栽培を好むという。また、耕作地を拡大しても、豆が収穫できるようになるまで7年かかるため、即効性のある解決策にはならない。