【5月20日 AFP】(写真追加)バルカン(Balkans)半島の広い範囲を襲っている過去1世紀で最悪の洪水による死者は少なくとも47人に上った。ボスニア・ヘルツェゴビナの当局者は19日、1990年代の内戦以来「最大規模の住民脱出」が起こっていると発表した。

 先週記録的な豪雨に見舞われたボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、クロアチアでは、氾濫したサバ(Sava)川からの泥水で家屋などの浸水や道路の冠水被害が多発している。

 人間の遺体や動物の死骸に起因する病気のまん延が危惧されている他、当局は1990年代の内戦の際に埋設された約12万個の地雷が露出する恐れがあると警告している。

 ボスニア・ヘルツェゴビナの緊急対策当局者がAFPに明かしたところによると、同国だけでこれまでに「10万人以上」が避難、近隣諸国でも数万人が家を追われており、「1992~95年の内戦終結以降、最大規模の住民脱出が発生している」という。

 数十の町村が孤立し、すでに2000か所以上で地滑りが確認されている。今後数日は水位がさらに上昇するとみられている。

 ボスニアのズラトコ・ラグムジャ(Zlatko Lagumdzija)外相は、人口380万人のうち4分の1以上が「洪水の被害を受けて」おり、「現在100万人以上が水を使えない状態にある」と伝えた。

 またセルビアでの被害について国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)は声明で、「バルカン半島を襲った過去120年間で最悪の豪雨によって発生した大洪水」で、人口720万人のうち約60万人が被害を受けたと発表した。

 セルビア南西部のクルパニ(Krupanj)の住民の1人はAFPに対し、「家々は文字通り押し流され、地滑りが至るところで発生している」として、「これはアルマゲドンだ、そうとしか表現のしようがない」と語った。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC