【5月16日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は15日、自らが設置した私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」による報告書の提出を受け、集団的自衛権の行使容認を視野に、憲法解釈の変更に向けた検討を加速する方針を表明した。

 都内の首相官邸で開かれた記者会見で首相は、不穏な動きが高まる北東・東南アジア情勢を引き合いに出し、1945年以来、自衛隊が戦場で武力行使することを防いできた憲法の制約を解く必要があるとし、「しっかりと日本人の命を守ることこそが総理大臣である私の責任であると確信します」と述べた。

 首相官邸周辺では約500人が安倍首相の方針に反対し「集団自衛権の行使は戦争に等しい」と書かれた横断幕を掲げるなどしてデモを行った。

 学識者、外交関係者、軍事専門家などから構成される首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、軍事行動に関する法的枠組みの変更に関する提言を行った。この提言を受け、首相は懐疑的な見方もある世論を説得しつつ、与党協議を経て早期の閣議決定を目指す。一連の動きは世論を二分するもので、連立与党の一角である公明党との確執を招く恐れもある。(c)AFP/Shingo ITO