【5月15日 AFP】スイスで18日、世界最高水準となる時給2500円の法定最低賃金の導入の是非を問う国民投票が実施される。

 スイスでは、これまで法定最低賃金制度は設けられていなかった。制度導入を提案した労働組合や左派政党は、世界で最も物価の高い国の1つであるスイスで生活を維持していくためには、少なくとも時給22スイスフラン(約2500円)、または月給4000スイスフラン(約46万円)が「まっとうな賃金」として必要だと主張している。

 主な西側諸国の最低賃金は、米国が7.25ドル(約750円)、フランスが9.43ユーロ(約1300円)、スペインが5.05ユーロ(約700円)、先日導入したばかりのドイツが8ユーロ(約1100円)。国民投票で承認されれば、スイスは来年から、世界で最も最低賃金が高い国となる。

 だが、この提案が可決される見通しは低いようだ。

 先週発表された最新の世論調査によれば、有権者の64%が制度導入に反対で、賛成の回答は4月の調査から12ポイント低下して30%にとどまった。高額な最低賃金を導入すれば多くの企業が致命的な打撃を受け、スイス経済の健全性が損なわれるとする政府や財界の主張が国民に浸透したためとみられる。(c)AFP/Nina LARSON