【5月13日 AFP】高級家具に対する中国の需要増が過熱し、東南アジア全体の違法伐採に拍車をかけており、銘木シタン(紫檀)の1種、サイアミーズ・ローズウッドが奪い去られているとして12日、環境保護団体が警鐘を鳴らした。

 中国では富裕層の増加に伴い、明朝や清朝時代の華美な高級家具のレプリカ版がステータスシンボルとしてもてはやされ、売上が急増している。

 非政府組織(NGO)「環境捜査局(Environmental Investigation AgencyEIA)」の報告によると、中でも「紅木」家具と呼ばれる家具の需要により、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイといったメコン川流域の国のサイアミーズ・ローズウッドが全滅の危機にある。同地域から中国へ輸出された希少木材は2000年以降、24億ドル(約2500億円)相当に上る。

 一方で、中国市場でのもうけを当て込んだ犯罪集団による違法伐採も広がり、メコン川流域の森林は丸裸にされてきた。EIAの環境活動家フェイス・ドハティ(Faith Doherty)氏によれば、とりわけタイの状況は環境的にも社会的にも最も深刻で、何らかの手を打たなければ数年以内にサイアミーズ・ローズウッドは消滅してしまうという。またタイ-カンボジア国境では2013年に、違法越境しての伐採を試みたカンボジア人69人が、タイ軍に撃たれて死亡している。

 EIAではサイアミーズ・ローズウッドの丸太、材木、板などの貿易を禁じる国際法の強化を求めるとともに、中国にも家具業界の規制を強め需要を抑制するよう呼び掛けている。(c)AFP