【5月8日 AFP】ブルネイのハサナル・ボルキア(Hassanal Bolkiah)国王がイスラム教に基づく厳格な刑罰の導入を宣言したことを受け、米カリフォルニア(California)州ビバリーヒルズ(Beverly Hills)市は7日、同国王が市内に所有するホテルの売却を求める決議案を可決したことを明らかにした。

 ボルキア国王は先週、国内外からの批判にもかかわらず、イスラム法(シャリア法)の導入を推進すると表明。同国では今月1日、第1段階として新たな刑法の一部が施行された。年内には第2段階として、窃盗や強盗の罪に対する手足の切断など、より厳格な刑罰が発効。さらに来年後半には、同性間の性行為や不倫に対する刑罰として、石打ちによる死刑が導入される予定だ。

 ビバリーヒルズ市議会はAFPに送付した声明で、「市議会は6日、同性愛や不倫を理由とした石打ちによる死刑など、極めて厳格な罰則を科す一連の法律について、ブルネイ政府を非難する決議案を全会一致で可決した」と表明した。

 市議会は可決した決議案を国務省に送付し、政府に「ブルネイ政府の方針を非難するための適切な措置」を求める方針だ。一方、国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は6日、政府はすでに「非公式に、ブルネイ政府に懸念を伝えた」と明らかにしたものの、国王のホテルチェーンをボイコットする動きに同調する考えはないと明言している。

 ボルキア国王は自ら所有する高級ホテルグループ、ドーチェスター・コレクション(Dorchester Collection)を通じて、歴史的なビバリーヒルズ・ホテル(Beverly Hills Hotel)や、ロサンゼルス(Los Angeles)のベルエア・ホテル(Bel-Air Hotel)などを所有。同グループはロンドン(London)とパリ(Paris)、ミラノ(Milan)、ローマ(Rome)にも支社を設置している。(c)AFP