【5月8日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は7日、ウクライナ東部で同国の暫定政権への抵抗を続けている親ロシア派勢力に対し、分離独立の是非を問う住民投票の延期を要請するとともに、ウクライナとの国境地帯に展開していたロシア軍を撤退させたと発表した。

 モスクワ(Moscow)で欧州安保協力機構(OSCE)議長と会談した大統領は、ウクライナの親ロシア派に対し、「対話に必要な状況を生み出すため、今月11日に予定している住民投票を延期すべきだ」と呼び掛けた。さらに、これまで批判してきた今月25日に実施予定のウクライナ大統領選について、「正しい方向へ進むための動きだ」として歓迎する考えを表明した。

 こうした予想外のプーチン氏の発言は、本格的な内戦状態に突入する気配をみせていたウクライナ情勢の解決に向けた可能性をうかがわせるものだ。

 プーチン大統領はまた、2か月近く前にウクライナとの国境地帯に配備した4万人規模の部隊について、「すでに撤退させた。現在はウクライナ国境に展開されておらず、訓練場に戻り、通常の任務にあたっている」と述べた。しかし、北大西洋条約機構(NATO)とホワイトハウス(White House)はこれについて、ロシア軍の撤退を示す兆候は確認されていないと表明している。

 欧米各国はウクライナの大統領選が実施不可能な状況になった場合、景気後退入りしたとみられているロシア経済に幅広く影響を及ぼし得る制裁を実施する考えで、すでに準備を開始している。(c)AFP