【5月7日 AFP】ナイジェリア北東部で先月に女子生徒200人以上がイスラム過激派「ボコ・ハラム(Boko Haram)」に拉致された事件で、同地域の住民らは6日、ボコ・ハラムとみられる集団がさらに8人の少女を拉致したことを明らかにした。

 8人の少女は、3週間前に集団拉致事件が発生したナイジェリア北東部ボルノ(Borno)州チボク(Chibok)地区の近隣の村、ワラベ(Warabe)で、武装集団に拉致された。

 ワラベ村の住民の1人によると、武装集団は4日夜に「少女らを探して家を一軒一軒」渡り歩き、「12~15歳の年齢の少女8人を強引に連れ去った」という。この証言は、他の複数の目撃者による裏付けが得られている。

 別の住民のピーター・ゴンボ(Peter Gombo)さんはAFPの取材に、同地域には軍隊や警察はまだ配備されていないと語った。「ここには治安は存在しない。武装集団が自分の娘たちを奪おうとしても、誰も阻止できない」

 チボク地区での拉致事件については、世界中で怒りの声が高まっており、国連(UN)は人道に対する罪にあたる可能性があると警告している。

 ボコ・ハラムの指導者、アブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者は、AFPが今月5日に入手した映像の中で、同組織はチボク地区で4月14日に拉致した女子生徒らを「奴隷」として拘束していると述べ、「少女らを市場で売り飛ばす」つもりだと脅迫した。警察によると、少女らの一部は脱出に成功したが、220人以上がいまだに拘束されているという。

 米国のジョン・ケリー(John Kerry)国務長官は6日、ナイジェリアのグッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)大統領と電話会談し、少女らの居場所特定のための専門家チーム派遣を申し出た。米国務省のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官によると、米政府は在ナイジェリア米大使館に米軍と地元治安当局による共同対策本部を設置すると申し出ており、ナイジェリア側はこれを受け入れている。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領も6日、米ABCテレビとのインタビューの中で、ナイジェリア政府が専門家チーム派遣の申し出を受け入れたことを確認。米国側は既に軍や法執行機関などの関係者からなるチームを派遣したと述べた。

 オバマ氏はさらに事件について「心が痛む、言語道断の状況だ」と述べ、「このような凶悪な犯罪行為に及んだこの恐ろしい組織(ボコ・ハラム)に対し、国際社会全体がようやく何らかの対応を取ることにつながる事件かもしれない」との見解を表明した。(c)AFP