【5月6日 AFP】トルコでは子どもが犠牲となる残虐な殺人事件が相次いだことを受け、廃止された死刑制度の復活を求める声が強まっており、子どもを殺害した犯人に対する刑の厳罰化に政府が乗り出している。

 トルコでは欧州連合(EU)加盟を目指し、加盟条件の1つとして求められていた死刑廃止を10年以上前に決定し、その2年後に憲法に反映させたが、残虐な殺人事件が続いていることからその復活を望む声が上がっている。

 同国のイスラム系政党、至福党(Islamic Saadet Party)のユスフ・イギタルプ(Yusuf Yigitalp)副党首は、死刑を廃止したことによって犯罪が急増しており、死刑制度の復活は「絶対必要」だと語った。

 レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相は、EUに加盟したければ死刑制度の復活は不可能であり、代わりに子どもを殺した人物には例外なく執行猶予なしの終身刑を科すようにすると述べている。

 今回、死刑制度の復活を望む声が高まっている背景には、子どもが犠牲となった残虐な殺人事件が相次いでいることがある。現地報道によると、ある事件では6歳の少女が刺され、拷問された後に焼き殺された。自白したとされる容疑者は20歳の若者で、ピクニックへ行こうと言って少女を車の中に誘い込んでから縛り、犯行に及んだと語ったという。

 今月に入り東部のカルス(Kars)で起きた別の事件では、9歳の少年が性的暴行を受けた後に絞殺された。監視カメラにより、23歳の容疑者が犯行現場となった人里離れた場所まで少年を車で連れて行ったことが明らかになっている。

 さらに2週間前には、エーゲ海に面したアイディン(Aydin)で、4歳の少年が残虐に殺され、倉庫の中で遺体となって発見されたことが報じられた。

 こうした事件を受け、アイシュヌル・イスラム(Aysenur Islam)家族相が、叫び声を上げるなど親が子どもに教えておくべきだと述べたため、子どもの安全に対する政府の取り組み方に批判が集まっている。

 子どものための権利擁護団体「子どもの課題(Gundem Cocuk)」のエズギ・コマン(Ezgi Koman)氏は、政府は子どもの安全に関する問題について無策だと激しく批判する。同団体によれば、2013年にトルコで殺害された子どもは、前年の609人から増え、633人に上った。(c)AFP/Fulya OZERKAN