【5月6日 AFP】打ち上げられたシロナガスクジラの死骸2体の内部にメタンガスが充満し、爆発が懸念されているカナダ東部ニューファンドランド(Newfoundland)島で、今度は打ち上げられた別のクジラの死骸がネットオークションに出品されていたことが分かった。

 新たに打ち上げられていたのが分かったのは、体長約12メートルのマッコウクジラの死骸で、同島西部ケープ・セントジョージ(Cape St. George)のピーター・フェンウィク(Peter Fenwick)町長によると、約1000人の住民には、腐敗し始めたクジラの死骸を処分できる手段はなく、同国の漁業当局も手助けをしない方針を示しているという。

 腐敗臭の拡散を懸念した町議会は4日、クジラの死骸をインターネット競売大手イーベイ(eBay)に出品すること決め、翌5日に出品した。

 町は、落札者が持ち去ってくれることに期待を寄せたが、この出品が生死を問わず動物の取引きを禁止する、同オークションサイトの規則に違反していることが直後に判明。またほぼ同時に連邦当局からも、クジラの死骸を売却することは法に反しているとの連絡が町長に届いた。

 こうして出品は取り下げられたが、それまでに数十件の入札があり、最高入札額は2000カナダドル(約18万6000円)に達していたという。

 町長はAFPの取材に対し、「(連邦当局からは)この問題について何の提案も支援もなく、『自分たちで処分するように』との言葉しかなかった。だから、イーベイに出品することを決定した」と語った。

「責任を持ってクジラの死骸を処分してもらえるなら、無料でもかまわない」と話す町長は、クジラの骨格が博物館の展示にも適していると提案する。

 違法に売却することはしたくないと話す同町長だが、「われわれは今、法に抵触せずに死骸を処分する良い方法がないかを模索し始めたところだ」と述べ、腐敗し始めたクジラの死骸が悪臭を放ち始める日が近づいている以上、選択肢はあまりないと訴えた。(c)AFP