【5月2日 AFP】昨年インドを襲い数千人の死者を出した大洪水の一因は、同国北部の水力発電計画にあったとする報告が、政府委託の調査でまとめられた。代替エネルギーである水力への投資を進めるヒマラヤ山脈(Himalayas)沿いの他の国々に警告を発している。

 昨年6月ヒマラヤ山脈地帯のウッタラカンド(Uttarakhand)州で、例年よりも早い夏季の季節風(モンスーン)がもたらした豪雨により洪水や土砂崩れが相次ぎ、死者・行方不明者は5500人以上に上り、複数の町や村が大きな被害を受けた。

 世界第2位の人口を抱えるインドは、火力発電所への依存度を下げる目的に加え、電力不足の解消を目指して、ヒマラヤ山脈地帯における水力発電計画を推進している。

 パキスタンや中国、ブータン、ネパールも、同山脈地帯でも特に環境面で被害を受けやすい地域で、規模の差こそあれ一様に水力発電の拡大を視野に入れている。

 インド政府が委託した調査に携わった専門家らはその報告書で、30か所以上ある水力発電計画の一部が原因となり、発電所の建設中に掘削されて河岸に投棄された土砂などがウッタラカンド州を流れる河川に堆積していると指摘した。

 同域に記録的な豪雨が降って河川が氾濫した際、数トンの水だけでなく堆積物も下流へ押し流されたことで、道路や橋、建物などがのみ込まれ洪水被害の拡大につながったとしている。

 4月29日にAFPが入手したこの報告書は、「堆積物管理は非常に重要だ。2013年6月のような状況から住民と土地を守るためには、現在の慣行を見直す必要があり、ウッタラカンドにおける技術上妥当で環境的にも持続可能な堆積物管理の方法が提案されるべきだ」と述べている。

 さらに、これまでに提案されている水力発電計画24件のうち23件については、現在保護下にある、または被害を受けやすい地域に近い場所での開発が進められる場合、許可されるべきではないとも指摘している。

 インドの電力のうち、水力で賄っているのは17.4%だが、同国内では現在、ウッタラカンド州での92の計画を含め多くの水力発電計画が進められている。(c)AFP