【4月28日 AFP】シンガポールの地方裁判所は24日、極度に痩せ細ったペットの犬を病院に連れて行かなかった事業家に対し、1万シンガポールドル(約80万円)の罰金を科した。動物愛護活動家らはこの判決を歓迎している。

 罰金が言い渡されたのは、リム・スーセン(Lim Soo Seng)被告(76)。同国の食糧管理動物保護局(Agri-Food and Veterinary AuthorityAVA)によると、動物虐待で罰金の最高額が適用されたのは今回が初めてだとしている。しかし同被告は、禁錮1年の刑は免れた。

 動物虐待防止協会(Society for the Prevention of Cruelty to AnimalsSPCA)シンガポール支部のコリーヌ・フォン(Corinne Fong)代表はこの判決について、「あらゆるペットの飼い主に対し、必要な栄養を満たすことは当然の責任であることを示すとても明確な注意喚起だ」と述べている。

 SPCAが先に公表していたこの犬の死骸の写真は、ソーシャルメディア上で広まっていた。

 リム被告は昨年5月17日、チリ(Chilli)という名の痩せこけた雌のミックス犬の死骸をSPCAに持ち込んで処理を依頼していた。チリはその前日から餌を受け付けなくなっていたという。解剖の結果、チリは数か月にわたって餌を与えられないまま放置されていたことが判明した。

 この事件は、シンガポールで相次いでいる動物虐待の最も新しい事例の一つ。これまでにも、野良犬に毒物を与えたり、猫を攻撃したりするケースが報告されている。(c)AFP