【4月25日 AFP】「ネット中立性」の理念に反するという声も上がっているインターネットの「追い越し車線」を容認する提案が、ブロードバンド事業者の権力乱用防止を目指す米通信規制当局によって発表された。

 米連邦通信委員会(FCC)は24日、インターネットプロバイダーがデータ通信速度における差別を行わないよう徹底することを目指した提案を発表した。

 提案された規則は、ネットフリックス(Netflix)やグーグル(Google)といったIT大手がデータ通信速度を向上させるためにプロバイダーに特別な対価を支払うことは禁じていないものの、その際に競合する回線でも「適度な」通信速度を維持しなければならないとしている。

 トム・ウィーラー(Tom Wheeler)FCC委員長が同委員会に提出した「提案規則策定上のオープンインターネットの概念」に対しては、一部のトラフィックを他のコンテンツに優先させないことでネット中立性を保とうとする目標を裏切るものだとして、批判の声も上がっている。

 一方のFCC側は、ネット中立性は引き続き重視しており、法律に照らし合わせた精査を通過できるような規則作りを目指しているとの立場を固持している。

 FCCは過去2回、直近では2010年に、ブロードバンド事業者の規制を試みているが、いずれも米連邦地裁がそのような行為はFCCの権限を越えているという判断を下している。

 しかしウィーラー委員長は、インターネットプロバイダーが「商業上不適切な」行為を行うならば、FCCには対応策を講じる権限があると最近の司法判断が示唆したことを逆手に取り、今回提案された規則は、「オープンインターネットを保護する道路規則の施行方法について、裁判所が示したロードマップに従う」ものだと説明。「かなり直接的な言い方をするなら、この提案により、オープンインターネットを制限して消費者や競合他社に害を及ぼす行為は容認されないとの方針が定められることになる」と論じている。

 この提案は、5月15日の委員会全体会議で検討される予定で、委員会が支持すれば、その後一般からの意見を聞く期間を設けるとしている。(c)AFP/Glenn CHAPMAN