【4月23日 AFP】ミツユビナマケモノの内臓は下位肋骨(ろっこつ)に固定され、逆さまにぶら下がるときに肺を圧迫しないような独特の構造になっているとした研究論文が、23日の英国王立協会(British Royal Society)の専門誌バイオロジー・レターズ(Biology Letters)に掲載された。

 中南米に生息するミツユビナマケモノは、後ろ脚で木にぶら下がり、枝の先にある若く柔らかい葉を食べて一生の大半を過ごす。代謝が非常に低いため、1枚の葉を消化するまでに1か月かかることもある。体重の3分の1程の尿とふんをためておくことが可能で、排せつは週に1回ほど。

「つまり、胃と腸の内容物が体重の大きな部分を占めることになる」と論文共著者で、英ウェールズ(Wales)にあるスウォンジー動物行動研究所(Swansea Laboratory for Animal Movement)のレベッカ・クリフ(Rebecca Cliffe)氏はAFPに説明した。

「ナマケモノのエネルギー供給量は制限されているので、逆さまにぶら下がりながら呼吸するだけでもエネルギー的な意味で非常にぜいたくということになる」

 この研究で、クリフ氏と研究チームは、マナケモノの肝臓や胃、腎臓などの腹部の器官が肋骨に固定され、ナマケモノが逆さまになったときも横隔膜を圧迫しないような構造になっていることを発見した。

「一見すると無用に見えるこの固定が、ナマケモノのエネルギー予算と生存にとって重要な可能性が高い」と論文は結論づけている。クリフ氏によれば、この構造により、ナマケモノのエネルギー消費量は13%削減されているという。(c)AFP