【4月23日 AFP】米フロリダ(Florida)州南部とその中心都市マイアミ(Miami)で、海面上昇による危機がますます深刻化していると専門家らが22日、発表した。豊かな日光が降り注ぐ同地域の広大な砂浜は、旅行者にとっての「安息の地」となっている。

 フロリダ州選出のビル・ネルソン(Bill Nelson)民主党上院議員は、マイアミで開かれた上院の特別公聴会で、フロリダ南部が気候変動とそれが沿岸地域に及ぼす脅威の「グラウンド・ゼロ(Ground Zero、爆心地)」になっていると表現した。

 世界資源研究所(World Resources InstituteWRI)は、住宅、海辺のホテルや企業などの資産面で、マイアミは世界最大規模の資産が危機にさらされるとしており、同市に迫る危機は特に懸念されているという。

 マイアミは、147億ドル(約1兆5100億円)相当の沿岸地域の資産が危機にさらされているだけでなく、海面上昇の影響を受ける人口が世界で4番目に多い。マイアミの海抜は、わずか1.22メートルだ。

 ネルソン議員によると、フロリダ州全体の人口は2000万人近くで、その約4分の3が沿岸地域に住んでいるという。

 フロリダ南部の周辺海域では、海面上昇が急速に進行している。WRIが発表した報告書によると、同沿岸地域では1870年以来、30センチの海面上昇がすでに観測されているという。海面は2060年までに、さらに23~61センチ上昇することが予測されている。