【4月23日 AFP】ウクライナを2日間の日程で訪問していた米国のジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領は22日、ロシアに対し、「ウクライナを分裂」させようとし続けるのであればロシアの孤立は避けられないと警告すると同時に、ウクライナの指導者らに対しては米国の強い支援を約束した。ウクライナをめぐっては、冷戦時代のような東西衝突が激しさを増している。

 バイデン氏は帰途に就く数時間前に、「米国はロシアに対し、覆面で無記章の軍服を着用し、ウクライナ東部に政情不安をもたらしている男らを支援するのはやめるよう求める」とした上で、「ロシアがさらに挑発的な態度に出るのであれば、より大きな代償を払い孤立を深めることになると明確に伝え続けてきた」と述べた。

 米国は、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の側近らを対象に既に発動させた渡航禁止と資産凍結に加え、いっそうの制裁措置を取る構えを示している。バイデン氏は「事態を進展させるための時間は短い」と警告した。

 バイデン氏は、ウクライナがロシアの天然ガスへの依存度を軽減し、腐敗と闘い、5月25日の大統領選への準備を進めるため、米国が対ウクライナ支援を強化していることも明らかにした。

 これに対しアルセニー・ヤツェニュク(Arseniy Yatsenyuk)ウクライナ暫定首相は、「武装した無法者集団のように振る舞っている」ロシアに対抗していく上での米国の支援に謝意を表した。

 一方ロシアのドミトリー・メドベージェフ(Dmitry Medvedev)首相は、テレビ放送されたロシア議会での演説で「(新制裁の)影響を最小限に抑えることができると確信している」と述べ、米国が示唆した新たな制裁は大きな問題にはならないという姿勢を示した。だが同首相は、ロシア経済が「前例のない困難」に直面しつつあることは認めた。

 ロシア財務省は21日、エネルギー資源豊富な同国も今後3か月の間に「景気後退局面」に陥る恐れがあるという見方を示した。先週にはアントン・シルアノフ(Anton Siluanov)財務相が、同国経済は深刻な景気後退局面に入った2009年以来最悪の状況にあると警告していた。(c)AFP/Marc BURLEIGH in Kiev and Bertrand DE SAISSET in Kramatorsk