【4月22日 AFP】生息数が減っている絶滅危惧種、シナウスイロイルカを保護するために、台湾政府は21日、同国初となる海洋野生動物保護区を設定する方針を明らかにした。

 台湾の環境保護団体「彰化縣環境保護連盟(Chuanghua Environmental Protection Union)」によると、汚染や産業開発、生息地の破壊などにより、同国沿岸域に生息するシナウスイロイルカの数は過去10年間で半減し、60頭程度まで落ち込んでいる。蔡嘉揚(Tsai Chia-yang)代表は「シナウスイロイルカの生息数は、海洋環境の健全性を測る主要な指標の一つだ」と述べる。

 台湾行政院農業委員会(Council of Agriculture)によれば、西部沿岸沖に7万6300ヘクタールの保護区が設定される。

 保護区設定について発表した林務当局のクアン・リーハオ(Kuan Li-hao)担当官は、国連(UN)が制定した「アースデイ(Earth Day、地球の日)」の前日に発表できることを喜んでいると述べた。政府は、保護区の成功は地元の漁業関係者の協力によるとしており、漁業の全面禁止は行わず、周辺の通常の漁場に影響はないが、漁を行う際の指針を厳格化する方針。今後、周辺地域での開発事業にはすべて政府の認可が必要となる。

 密漁は重罰化され、密漁者には最高2年の刑と50万台湾ドル(約170万円)の罰金、生息域に深刻な打撃を与えた者には最高5年の刑が科される可能性がある。桁網(けたあみ)漁も禁止される。(c)AFP