【4月22日 AFP】国連(UN)は21日、南スーダンの反乱軍が先週に油田地帯の主要な町ベンティウ(Bentiu)を掌握した際、対立する民族であることを理由として民間人「数百人」を殺害したと発表した。民族対立による戦闘が続く同国で、これまで報告されている中でも最悪規模の虐殺事件となった。

 国連南スーダン派遣団(UNMISS)によると、町内の主要モスク(イスラム礼拝所)だけでも、「200人以上の民間人が殺害され、400人以上が負傷したと報告されている」という。また、教会や病院、以前の国連世界食糧計画(World Food ProgrammeWFP)の施設でも、子どもを含む民間人が殺されていたとしている。

 ベンティウを視察したUNMISSの事務総長特別副代表のトビー・ランザー(Toby Lanzer)氏はAFPに対し、「最もひどい光景」を見たとして、「処刑された人々の遺体が路上や市場、礼拝所の内外に積み重なっている…その大半が民間人の衣服を着ている」と語った。

 また反乱軍の戦闘員らはラジオ放送を通じて、対立する民族の女性らをレイプするよう呼び掛け、対立するグループは町から追い出さなければならないとあおった。

 南スーダン政府軍は、昨年解任されたリヤク・マシャール(Riek Machar)前副大統領を支持する反乱軍と戦闘を繰り広げている。マシャール氏は今月に入り、主要な油田地帯を狙った攻撃を開始した。両勢力の衝突は、サルバ・キール(Salva Kiir)大統領が所属するディンカ(Dinka)人と、マシャール氏のヌエル(Nuer)人との対立という民族紛争の様相を帯びてきている。(c)AFP