【4月21日 AFP】殺人の冤罪(えんざい)で19年間服役した米国の元プロボクサー、ルービン・カーター(Rubin "Hurricane" Carter)さんが20日、カナダ・トロント(Toronto)の自宅で死去した。76歳だった。前立腺がんを患っていたという。

 カーターさんは1960年代に米国でミドル級のプロボクサーとして「ハリケーン」のリングネームで活躍したが、1966年にニュージャージー(New Jersey)州の酒場で3人を殺害した罪に問われ、人種差別の影響を受けた裁判で翌年、有罪判決を受けた。

 しかし、カーターさんはその後も無罪を主張。プロボクサーのモハメド・アリ(Muhammad Ali)さんら著名人が支援運動に加わり、カーターさんは不当判決と戦う象徴となり、2回の裁判を乗り越え、1985年に無罪を勝ち取った。

 1975年には歌手のボブ・ディラン(Bob Dylan)さんが「ハリケーン」と題する曲でカーターさんの戦いを歌った他、99年には『ザ・ハリケーン(The Hurricane)』の題で映画化され、カーターさんを演じた俳優デンゼル・ワシントン(Denzel Washington)さんがアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

 その後、カーターさんは1993~2005年まで、カナダで冤罪被害者擁護協会(Association in Defence of the Wrongly ConvictedAIDWYC)の事務局長を務めた。(c)AFP