【4月18日 AFP】陸生草食動物の最古の祖先とされる動物の3億年前の化石を発見したとの研究論文が16日、米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)に掲載された。この部分骨格の化石は、陸生草食動物の出現の謎を解明する手掛かりになるという。

 論文主執筆者のカナダ・トロント大学ミシサガ校(University of Toronto at Mississauga)のロバート・ライス(Robert Reisz)教授は、AFPの取材に「エオカセア・マルティニ(Eocasea martini)」と呼ばれるこの動物の部分化石は「肉食動物と草食動物との間の最初のつながりであり、その過渡的段階だ」と語る。

 エオカセアは肉食動物だったが、草食動物に近い存在だったことを示す骨格的特徴を持っていた、とライス教授は指摘する。

 トロント大やドイツ・ベルリン(Berlin)の自然史博物館(Museum fur Naturkunde)とフンボルト大学(Humboldt University)などの古生物学者チームが発表した論文によると、米カンザス(Kansas)州で行われた発掘調査で、体長20センチのエオカセアの頭蓋骨のごく一部と背骨、骨盤、後肢の大部分の化石が発見されたという。

 恐竜時代より8000万年前に生息していたエオカセアは、単弓(たんきゅう)類と呼ばれる動物の分類群に属している。最初の陸生草食動物や大型の最上位捕食動物なども属する単弓類は、最終的に現代の哺乳類に進化した。

 論文によると、草食動物が出現するまでは、陸生哺乳類は共食いしたり昆虫を食べたりしていたという。

 草食動物の登場は「陸上生物にとって革命的な出来事だった。なぜならそれは、陸生植物がもたらす膨大な資源を陸生脊椎動物が直接的に利用できることを意味するからだ」と、ライス教授は説明する。

 草食動物は繁殖して数が増え、大型捕食動物の重要な食料源になった。

 そのためエオカセアは、多数の草食動物がごく少数の最上位捕食動物を支える現在の生態系の構造をもたらした過程の発端となったとライス教授は言う。

 草食性への進化は、異なる動物の系統で5回独立して起きた、とライス教授は付け加えた。

 だが、肉食から草食への進化がもっと前に起きなかったのはなぜか、またその進化が複数の異なる動物系列で独立して起きたのはなぜかについては、いまだに科学者らは頭を悩ませている、とライス教授は述べた。(c)AFP