【4月17日 AFP】肉や卵が盛られた朝食やビールを大量に消費することで知られる英国──この国が、コレステロール値を低下させる薬「スタチン(Statin)」を欧州で最も多く処方している事実に驚きはないだろう。

 現在、このスタチンの使用拡大を推奨する国の方針が、英国の人々の間で議論を呼んでいる。

 経済協力開発機構(OECD)の統計によると、英国人の平均体重は、欧州諸国の中で最も重い。また成人の24.8%が肥満とされており、世界の先進国の中で7番目に高い数字となっている。飲酒量も多くの富裕国を上回る。

 ただ、英国人の運動量は比較的多い。それでも心臓発作の発症率はOECDの平均を若干下回る程度だ。

 スタチンは、肝臓内でコレステロールが合成される際に重要な役割を果たすHMG-CoA還元酵素を阻害し、血液中のコレステロールを低下させる薬の総称だ。

 英国ではスタチンの処方基準が変化している。10年前は、向こう10年の間に30%の確立で心臓発作リスクがある患者にのみ処方されていたが、現在は同20%に引き下げられている。

 英国立最適医療研究所(National Institute for Health and Care ExcellenceNICE)はこのほど、新たなガイドラインを発表し、これをさらに10%にまで引き下げる提言をしている。この提言が受け入れられれば、心臓発作リスクがあるとされる患者の数は、現在の700万人から1200万人に増える。これは成人4人に1人の割合だ。

 欧州諸国のなかで、英国は服用されるスタチンの量が最も多い。OECD諸国の中で服用量が最も多いのはオーストラリアだが、英国はこれをわずかに下回る程度だ。

 心臓発作発症のリスクについては、年齢、体重、身長、家族歴、生活習慣など様々な項目を基に算出される。