【4月17日 AFP】モルドバからの分離独立を主張する親ロシア地域「沿ドニエストル(Transdniestr)共和国」は16日、ロシアと国際社会に対し、同地域の独立を承認するよう求めた。同地域が新たな東西対立の火種となる懸念が高まっている。

 沿ドニエストル共和国のエフゲニー・シェフチュク(Yevgeny Shevchuk)大統領はAFPの取材に、ウクライナでの緊張の高まりを受けて地域の安定を確保するために必要不可欠な措置として、欧州連合(EU)にドニエストルの独立を承認するよう求めた。

 これに先立ち、沿ドニエストル議会は「独立国家」としての地位を承認するよう国際社会に求める決議を採択。だが決議は、ロシアによる併合を求めるまでは至らなかった。

 シェフチュク氏は以前からロシア領への編入を目指すことを公言しているが、16日のAFPの取材に対しては、現時点では沿ドニエストルの独立承認を求めるにとどめ、ロシア領への統合をめぐる「仮定の話」に入り込みたくないと語り、「次の段階に何が起きるかについてはわが共和国の市民が決めねばならない」と述べた。

■親ロシアの沿ドニエストル

 ウクライナとの国境沿いに面した細長い地域である沿ドニエストルは1991年のソ連崩壊後、短い紛争期間を経て、分離独立を宣言。以後、ロシアは人口50万人ほどの貧しい沿ドニエストルに軍部隊を駐留、同地域に資金を供与してきた。

 沿ドニエストルは国連(UN)加盟国に独立国家として承認されたことは一度もないが、同地域の住民は2006年の住民投票でロシアへの編入を圧倒的多数で支持していた。

 ロシア政府は沿ドニエストルの住民投票結果について見解を表明したことはないものの、先月のロシアによるクリミア(Crimea)併合を受け、沿ドニエストルでは独立を求める声が高まっている。(c)AFP