【4月16日 AFP】ナイキ(Nike)やアディダス(Adidas)といったスポーツブランドの靴を製造している中国広東(Guangdong)省の工場で、3万人以上の労働者が数日間にわたってストライキを行っている。

 同省東莞(Dongguan)市にある裕元工業(Yue Yuen Industrial)の工場では、社会保障給付金が支払われないことに抗議する労働者たちがストライキをしている。米国を拠点に中国の労働者の権利を擁護する団体「中国労工観察(チャイナ・レイバー・ウオッチ、China Labor Watch)」によれば、出動した警官隊が抗議の参加者に暴力を行使し、数人が逮捕されている。

 中国では経済成長が鈍化する一方で、南部の製造業中心地では労働力が不足しており、労働者たちが労働条件の改善を求める声が高まっている。

 裕元工業のウェブサイトによると、同社ではナイキやアディダス、プーマ(Puma)、ニューバランス(New Balance)といった外国ブランドの靴を製造している。ストライキが起きている工場は一部、台湾資本が入っている。

 また別の権利団体によると、抗議に加わっている労働者は約4万人で、工場側はストライキが続けば労働者たちを解雇すると通達しているという。

 ある女性従業員は、工場側は15年末までに社会保障給付金を支払うと約束しているが、来年半ばに工場は撤退する可能性があり、そうすれば支払いがないまま終わってしまうため、労働者たちは納得していないと語った。さらに女性は「工場の仕返しが怖いので、(本当は)誰だって抗議に立ち上がりたくなどない。地元メディアは私たちのストライキを取り上げようともしない」と述べた。

 香港の労働権利保護団体、中国労工通報(China Labour Bulletin)によれば、2014年はこれまでに、前年比で30%以上の増加となる、202件の労働紛争が起きており、その大半は製造業だという。(c)AFP