以前から代替治療が受け入れられてきたドイツでは、エッセン(Essen)やイェーナ(Jena)、ベルリン(Berlin)といった都市の大学病院で断食療法の研究と教育が行われてきた。

 ベルリンのシャリテ大学病院(Charite)では50年にわたり、医師たちの指導による断食療法プログラムを提供している。12~14日のプログラムの費用は、ブヒンガー・ウィルヘルミよりも安価に設定され、さらに少なくとも一部には医療保険が適用されるため、富裕層にとどまらず幅広い所得層の人々の手に届く存在となっている。

 シャリテ病院自然療法部門のアンドレアス・ミヒャールゼン(Andreas Michalsen)氏は「ハーブ、有機食品、菜食、ヨガ、健康志向――。私たちドイツ人はとりつかれてしまったようだね」と語る。

 激しい工業化の波が押し寄せる時代への刷新運動として出現し、「自然へ返れ」とのモットーを掲げた生き方を擁護した19世紀ドイツのロマン主義者たちが、「自己治癒力への信念」や「生活改革」といった思想に先鞭をつけたと説明するミヒャールゼン氏は、「高カロリーの食事を定期的に口の中へ詰め込むような現在の状況は、人間の進化の歴史では新しい事態だ」と指摘した。

 現代の病気に対処するために作られた多くの新薬が、さまざま副作用のために市場から取り下げられていると指摘するミヒャールゼン氏は、「人は年を取れば取るほど、そういった病気になっていく。現在主流になっている医薬品が、将来もずっと有効だとされるとは限らない。だから10年後には、断食療法がもっと重要視されるようになると私は確信しているよ」と語った。(c)AFP/Eloi ROUYER