【4月16日 AFP】(一部更新)韓国の南部沿岸沖で16日朝に起きた旅客船転覆事故で死亡が確認された犠牲者は1人増え、これまでに計3人となった。

 乗客乗員459人のうち292人の安否が依然不明のままとなっている。転覆した船内に多数が閉じ込められたとみられ、最終的な死者が多数に上ることが懸念されている。

 韓国政府は当初、368人が救出されたと発表していたが、韓国海洋警察が安全を確認したのは164人のみと訂正している。

 乗員30人、乗客429人を乗せた旅客船は15日夜に韓国西部の仁川(Incheon)港を出港し、韓国南西部の人気リゾート、済州(Jeju)島に向かっていた。乗客のうち300人以上はソウル(Seoul)南郊・安山(Ansan)市の高校の生徒で、14人は同校の教員だった。

 旅客船は同国南部・屏風(Byungpoong)島の約20キロ沖合を航行中に何らかのトラブルに見舞われた。海洋警察は、16日午前9時(日本時間同)ごろに旅客船からの遭難信号を受け取ったと発表している。旅客船は左舷側に45度以上傾き、その後2時間のうちに完全に転覆して、船尾部分しか見えなくなった。

 事故の原因は分かっていないが、救出された乗客らは大きな衝撃音が聞こえた後に船がとまったと話していることから、座礁した可能性がある。安全行政省によると事故現場では現在、海軍、海洋警察、民間の船舶34隻と、ヘリコプター18機が救助にあたっている。

 現地テレビが放映した上空からの映像では、沈没しかけた旅客船の甲板から救命ジャケットを着用した乗客がゴムボートに乗り移る様子や、急角度に傾いた旅客船の側面を滑って水中に逃れた人を、駆けつけた小型漁船の乗組員などが必死に救助する様子が映し出された。

 安全行政省によると現在、韓国海軍の特殊部隊(シールズ、SEALs)のチームを含めたダイバーたちが、船内などを捜索しているが、海中に泥が多く、視界が非常に悪いという。また朝鮮半島の西側を巡回していた米海軍第7艦隊所属の強襲揚陸艦が支援へ向かっている。(c)AFP