会話の舞台はその後フィリピンに移り、イー議員は武器密売の米国での連絡相手となる友人として、フィリピン系米国人の歯科医師、ウィリアム・サイ・リム(William Sy Lim)被告(60)を紹介したという。

 FBIによると、イー議員とリム医師は、次のような計画を立案した。「マフィアの構成員」ことFBI捜査官が、リム医師に希望の銃器のリストを手渡す。リム医師とイー議員はフィリピンに飛び、ミンダナオ(Mindanao)島のイスラム武装勢力に武器を提供しているリム医師のおいにリストを渡す。おいがフィリピン軍の司令官からその銃器を調達する──。

■「シュリンプボーイ」を追って

 イー議員の政治生命を絶ったこのFBIのおとり捜査は当初、レイモンド・「シュリンプボーイ」・チョー(Raymond "Shrimp Boy" Chow)と呼ばれる男を標的にしていた。

 ギャングから足を洗ったと主張しているチョー被告は、政治家たちと一緒にいるところをしばしば写真に撮られ、非行に走る可能性のある少年たちへの支援活動では表彰もされている。

 だがFBIはチョー被告の更生を信じなかった。宣誓供述書では、被告は現在の立場を利用して地元チャイナタウンの「堂(tong)」と呼ばれる同族組織の「ドラゴンヘッド(ボス)」として君臨し、資金洗浄を中心に活動しているとされた。

 チョー被告が8日に出廷した際、弁護人は罪状認否までもう少し時間が欲しいと要請している。

 チョー被告を追っていたFBI捜査官は、チョー被告とイー議員とつながりを持つ政治コンサルタントのキース・ジャクソン(Keith Jackson)被告に遭遇。ジャクソン被告が捜査官をイー議員に紹介したという。ジャクソン被告は麻薬密売と依頼殺人の罪に問われ、無罪を主張している。(c)AFP/Stephanie Rice