【4月9日 AFP】変形性関節症の症状緩和を目的とする市販の栄養補助食品「グルコサミン」により、実験用マウスの寿命が1割近く延びたとする研究論文が、8日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。スイスの研究チームが発表した論文によると、人間では約8年寿命が延びることに相当するという。

 グルコサミンは自然に分泌される化合物で、関節の周囲を満たしている潤滑流体に含まれている。また、最も一般的な関節炎である変形性関節症に効果があるとされ、栄養補助食品としても広く市販されている。ただ、その有効性に関する研究では、まだ明確な結果が得られていないという。

 スイス連邦工科大学(Swiss Federal Institute of Technology)のミヒャエル・リストウ(Michael Ristow)氏率いる研究チームは、まず、研究が進んでいる実験動物の1つである線虫(学名:Caenorhabditis elegans)にごく少量のグルコサミンを与えた。すると寿命が約5%延びることが分かった。

 次に研究チームは、ほぼ2歳の実験用マウス146匹で実験を行った。マウスの2歳は人間の年齢に換算すると、およそ65歳に相当する。

 グルコサミンを投与されたマウスは、投与されないマウスに比べ、平均で10%長生きした。これは人間に換算すると、寿命が約8年延びることに相当する。

 さらに研究チームは、グルコサミンが代謝系に大きな影響を及ぼすことも追加の実験で示唆されたと指摘している。グルコサミンには、大きな糖の分子が小さな分子に分解されるのを抑える働きがあり、炭水化物の摂取を制限する「低炭水化物ダイエット」と同様の効果が示されたという。

 この効果がマウスの寿命延長にどう影響しているか、またこのメリットが人間にも及ぶかどうかを確認・説明するためには、さらなる研究が必要だという。(c)AFP