【4月8日 AFP】米ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)のシンクタンク、米韓研究所(US-Korea Institute)は7日、北朝鮮の主要核関連施設に、事故が起きた場合に放射能漏れにつながる恐れのある水供給システムの問題があるようだと発表した。

 最近の衛星写真を分析した結果、寧辺(Yongbyon)にある核施設が、昨年夏の豪雨と洪水の影響で安定した水供給が困難になっているとみられることが分かったという。この問題は特に、同施設の近くに建設され、完成が近いとされている北朝鮮初の軽水炉を危険にさらすものだとされる。

 アナリストのニック・ハンセン(Nick Hansen)氏は同研究所のブログ「38ノース(38 North)」で、北朝鮮は軽水炉の運用経験がなく、「炉の冷却に使われる水の急速な減少は、安全上の深刻な問題を引き起こしかねない」と指摘している。

 北朝鮮は、寧辺で稼働を再開したプルトニウム生産炉の運用経験はあるが、気密性を高めて放射性物質を封じ込める対策が取られていないため、小さな事故でも放射能漏れを起こしかねないという。

 韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領は同研究所の発表に先立ち、寧辺でチェルノブイリ(Chernobyl)原発事故のような大惨事が起きる恐れがあると警告を発していた。

 38ノースで公表された分析結果は、寧辺の核施設はチェルノブイリよりも小規模なため同規模の事故が起きる可能性は低いとしている。しかし「大気や河川への放射性物質の放出は周辺地域の汚染拡大をもたらす」と指摘し、「予想される北朝鮮の透明性の欠如は、周辺国住民のパニックや情報開示を求める各国政府との緊張を引き起こし、この地域に危機をもたらす恐れがある」としている。(c)AFP