【4月3日 AFP】国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)は2日、欧州に生息するマルハナバチのうち、約4分の1の種で絶滅が危惧されていることを明らかにし、気候変動と集約農業がその主な原因であると指摘した。

 IUCNは欧州のマルハナバチ全68種を対象に研究を行った。その結果、24%の種が絶滅に瀕(ひん)していることが明らかになった。また絶滅が危惧されている種を含む46%の種で個体数の減少が確認され、他方29%で安定、13%で増加していた。残りの種については増減不明とされた。研究は、欧州連合(EU)が助成している。

 他のハチ同様、マルハナバチの減少は人類にとっての脅威となる。マルハナバチは植物の受粉を媒介する「送粉者」として重要な役割を果たしており、食物連鎖を維持する上で欠かせない。

 IUCNによると、欧州の作物生産における五大送粉者にはマルハナバチの3種が含まれているという。その最大の脅威として、気候変動、集約農業、農地利用の変遷を挙げている。さらに、農業廃棄物による汚染や、都市開発に伴う生息地の減少も影響しているという。

 研究の調整役を務めたIUCNの欧州生物多様性保全担当のアナ・ニエト(Ana Nieto)氏は、「われわれは研究結果に強い懸念を抱いている。絶滅が危惧されるマルハナバチの種の割合が大きく、人類の食物生産にも深刻な悪影響を与えかねない」と指摘した。

 その上で同氏は、「欧州のマルハナバチ個体数の減少傾向を好転させるには、マルハナバチの種と生息地の保護、劣悪化したエコシステムの修復、生物多様性を損なわない農業を奨励していくことが不可欠だ」と提言している。(c)AFP