【4月1日 AFP】高血圧治療のガイドライン改定により、米国では今後、60歳以上の高血圧患者の4人に1人が薬による治療の対象から外れる可能性がある。米デューク大学(Duke University)の研究チームが、29日の米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)で研究論文を発表した。

 このたびの改定では、60歳以上の降圧目標値が150(最高血圧)/90(最低血圧)mmHgに緩和された。これまでの目標値は、140/90mmHgだった。

 デューク大学の特別研究員(心臓病学専門)で、論文の筆頭著者、アン・マリー・ナバーボーガン(Ann Marie Navar-Boggan)氏は「高齢者の降圧目標の緩和についてはすべての専門家が賛同しているわけではない」と述べている。

 研究チームは、米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)が実施した米全国健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination SurveyNHANES)を用いて、2005~10年のデータ(1万6000人が対象)を分析。治療の対象となる成人はこれまで40.6%だったが、ガイドライン改定後は同31.7%となることが分かったという。

 ナバーボーガン氏はまた、1350万人(大半が60歳以上)が、危険な血圧水準のグループから除外され、うち580万人は降圧薬による治療が不要と判断されることになるとしながら、「こうした人々を高血圧症とみなすべきかという問題に新ガイドラインは触れていない」と指摘している。(c)AFP