【3月31日 AFP】トルコで30日に実施された統一地方選挙で、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相(60)が、自身が率いるイスラム系の与党・公正発展党(AKP)の勝利を宣言し、自身の失脚を策略した政敵は「代償を払うことになる」と警告した。

 統一地方選は、11年に及ぶエルドアン政権に対する事実上の信任投票と見られていた。同国で初めて直接選挙方式で行われる8月の大統領選への出馬が取り沙汰されているエルドアン首相の勝利宣言は時に、次の選挙運動が既に始まったかのようにも聞こえた。

 地方選の票集計はまだ続いているが、首都アンカラ(Ankara)や最大都市イスタンブール(Istanbul)を含む国内の各選挙区で、AKPが世俗派の野党を大差で破る見通しだ。

 さらにエルドアン首相は、遠く米ペンシルベニア(Pennsylvania)州から現政権の転覆を画策して「ディープ・ステート」と呼ばれる影の組織を率いていると首相が非難する政敵のイスラム聖職者、フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師(73)に対する糾弾を示唆した。

 エルドアン首相は、トルコの警察や司法当局にいるギュレン師の支持者らが、マイクロブログのツイッター(Twitter)に首相周辺の汚職疑惑に関連する暴露情報を流出させ、シリアに関する安全保障会議を盗聴した音声を動画投稿サイトのユーチューブ(YouTube)で公開したと非難している。

 エルドアン首相はギュレン師とその支持者らに向けて、「われわれは彼らの洞窟に乗り込み、彼らは代償を払うことになるだろう」「なぜシリアに関するわが国の安全保障を脅かすのか。現在、シリアはわれわれとの戦争状態にあるのだ」と警告した。

 激しい衝突もみられた路上デモや、相次ぐネット上での情報流出など、数か月におよぶ政情混乱で、トルコはエルドアン首相のイスラム系与党支持者と世俗派野党側とに二極化された。

 若者人口の多いトルコでは昨年12月以来、エルドアン首相と、首相に近い政治家や財界人らをめぐる汚職や不正疑惑を糾弾する流出情報がネット上で拡散し、エルドアン政権にとって痛手となっている。(c)AFP/Fulya OZERKAN