2011年に民間金融グループの新興財閥とほぼ全ての有力右派系政治家が癒着していたことを示す情報機関の秘密ファイルがインターネットに流出した。これを受けて2012年の総選挙はフィツォ氏が党首を務める当時野党だった政党「スメル(Smer)」が150議席の議会(一院制)で83議席を獲得する地滑り的な勝利を収め、スメルが単独政権を樹立していた。

 フィツォ氏が大統領になれば、憲法を改正して大統領の権限を強化するとみられていたが、キスカ氏はフィツォ氏による権力の独占を防ぐと訴えていた。

 首都ブラチスラバ(Bratislava)で活動する政治アナリストは、多くの有権者はフィツォ政権に失望していたと指摘している。

 ブラチスラバで投票したある女性はAFPの取材に、「フィツォさんが勝たないように、キスカさんに投票しました。フィツォさんは権力に執着しすぎている。1つの政党が政治を支配するのはよくないと思います」と述べた。(c)AFP/Tatiana JANCARIKOVA