【3月29日 AFP】ロシアのセルゲイ・ラブロフ(Sergei Lavrov)外相は29日、国営テレビのインタビューで、ロシア軍をウクライナ本土に進めてもロシアの利益にはならず、ロシア政府としてそのようなことを命じる意図は全くないと述べた。クリミア(Crimea)半島を編入したロシアだが、ウクライナ本土には侵攻しない方針を強く打ち出した形だ。

 ラブロフ氏はまた、ウクライナ情勢をめぐりロシアと欧米諸国の立場の違いは小さくなってきており、ロシアと欧米が接触した結果、最近は「ウクライナ側にも提示できるような共同計画」の概要がまとまりつつあると述べた。

 ラブロフ氏は「率直に言って、われわれには連邦化以外にウクライナ国家が進むべき道は見えない」と述べ、ロシア政府はウクライナが国内の各地域に一定の自治権を持たせて連邦化することを最優先にしていることを明らかにし、欧米諸国もこの構想に耳を傾けていると述べた。

 その一方でラブロフ氏は、ウクライナの新憲法はウクライナがロシアと欧米の間で中立な国となることを明確に定める必要があると指摘し、今後もウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟はあってはならないという考えを示した。

 さらにラブロフ氏は、ウクライナ国内各地で建物や公園を占拠しているデモ隊はそろそろ引き揚げるべきだと述べるとともに、極右組織「右派セクター(Right Sector)」にウクライナ暫定政府と欧米が圧力を掛け始めたことを「遅きに失したが、なにもしないよりはましだ」と述べて歓迎した。(c)AFP