【3月29日 AFP】公共の場や職場での喫煙を規制したことにより、早産や小児ぜんそく発作の救急治療の割合が1割以上減ったという調査結果が28日、英医学誌ランセット(Lancet)で発表された。

 調査結果は、米国とカナダに加え欧州の4か国を対象に、地方自治体または国レベルでの喫煙規制の効果に関する11の公的調査から、200万人以上の子どもの記録を精査してまとめられた。それによると、喫煙規制が始まってから1年以内に、早産と小児ぜんそくの病院治療の割合が、10分の1以上減ったという。

 喫煙規制の効果に関するこれまでの研究は、大人を対象にしたものがほとんどだった。しかし受動喫煙の被害をより受けやすいのは、肺や免疫系が未成熟な子どもたちの方だ。2011年に192の国を対象に行われた前回の調査では、受動喫煙に起因した年間60万件の死亡例のうち子どもの割合は4分の1以上を占めていたことが判明している。

 今回の調査結果は、2008~2013年の250万人の出生例と、ぜんそく発作により入院した子どもの25万件の記録に基づいて得られた。

 英スコットランド(Scotland)にあるエディンバラ大学(University of Edinburgh)公衆衛生学センター(Centre for Population Health Sciences)のジャスパー・ビーン(Jasper Been)氏は、「この調査で、喫煙規制は子どもの健康を守るための効果的な措置であることが明らかになった」として、「これを受けて、未施行の場所でも喫煙を規制する法の整備が加速するのでは」と期待を示した。

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San Francisco)の喫煙問題の専門家、サラ・コークホーラン(Sara Kalkhoran)氏とスタントン・グランツ(Stanton Glantz)氏は、喫煙規制には経済的な利点もあると指摘している。

「ぜんそくの医療費は、2007年に米国で500億ドル(約5兆円)、2006年に欧州で200億ドル(約2兆円)を超えた。ぜんそく発作の外来治療や入院が10%減っただけでも、米国と欧州で年間70億ドル(約7000億円)が節約される計算だ」としている。(c)AFP