■クラカタウの日没

 1815年、インドネシアのタンボラ(Tambora)火山が噴火し、数万人が直接の影響、そして、その後の低温によって死亡した。大気中に大量の火山灰とガスが噴出された結果、以後3年間は、目を見張るような日没が続いたという。

 研究チームは、ロンドン(London)の2つの美術館、テート・モダン(Tate Modern)とナショナルギャラリー(National Gallery)に収蔵されたターナーらの絵画を分析した。その結果、絵画なかに描かれた水平線付近の赤と緑の比率は、噴火の記録や氷サンプル内の硫黄沈殿量と相関関係にあった。大気汚染が悪化するほど、絵画は赤みを増していた。

 また研究チームは、1883年に同じくインドネシアのクラカタウ(Krakatau)火山が噴火した後の絵画も調査した。噴火後、地球の裏側にある欧州地域でも素晴らしい日没が生じていることを発見した。

 これらの裏付けとして、研究チームはギリシャの風景画家に自宅のあるエーゲ海(Aegean Sea)に浮かぶイドラ(Hydra)島の日没の絵画制作を依頼。エアロゾル濃度の低い時期と、サハラ砂漠からの砂塵の雲が通過している大気汚染レベルの高い時期の絵が制作されたが、同様の結果が得られたという。(c)AFP/Mariette LE ROUX