【3月26日 AFP】オランダ・ハーグ(Hague)で開かれていた核安全保障サミット(Nuclear Security SummitNSS)は25日、危険物質がテロリストの手に渡ることを防ぐためバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が主導する世界規模の取り組みを、参加した53か国のうち35か国が支持し、核の安全保障を強化することを誓って閉幕した。

 2年に1度開かれるこのサミットは、今回が3度目。オバマ氏は会合の最後に各国首脳陣に対し、同氏が「世界の安全保障にとって最も直接的で最も過激な脅威」と呼ぶ核テロを阻止するため緊密な連携を取り合うよう呼び掛けた。

 オバマ氏は、米国で次回会合が開かれる2016年までに「しっかりと仕上げができるよう、今後2年間気を抜くのではなく、いっそう努力し勢いを維持することが重要だ」として、「(核テロは)たった1回の攻撃でも大惨事を招く以上、おうように構えてはいられない」と強調した。

 今回の会合を主催したオランダのマルク・ルッテ(Mark Rutte)首相は、危険な核物質量の削減、核物質を取り巻く安全保障の向上、核問題での国際協力の強化という、本サミットの3つの主な目標について、「大きな進歩」があったと語った。

 今回のサミットで、参加53か国のうち35か国が採択した共同宣言では、各国が連携を密にすること、また核の安全保障の観点から慎重な対応を要する国々の「定期的な相互評価」を受け入れることも約束。さらに、核物質防護のために国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)が示した一連のガイドラインで定められた基準を「具現化する、あるいはそれを上回る」ことを誓った。

 この共同宣言には、イスラエルやカザフスタン、モロッコ、トルコといった国々は名を連ねたが、ロシアは含まれていない。

 専門家らは、核保有量の多い国々が採択していないことから、この共同宣言には実効力がないと警告している。核問題の専門家70人以上からなる核分裂性物質作業部会(Fissile Materials Working Group)は、「ロシア、中国、パキスタン、インドという、大量の核物質を持つ核兵器保有国をはじめ、その他の国々が採択しなかったことにより、共同宣言の影響力が弱まっている」と指摘している。

 この共同宣言は、原子爆弾の製造に使われ得る高濃縮ウランの備蓄量を削減し、より安全な低濃縮ウランに転換することに努めると約束している。

 オバマ米大統領は、核サミットの今後について、「IAEAや国際刑事警察機構(インターポール、InterpolICPO)といった既存の機関との連携を進めていく」ことを目指し、形態を改めて閣僚級・実務者級のより永続的な機関へ転換していくことを検討すべきだという考えを示した。(c)AFP/Richard CARTER