【3月25日 AFP】失踪後、インド洋に墜落したとされるマレーシア航空(Malaysia Airlines)MH370便のブラックボックスの回収は、最先端の装備をふんだんに動員したとしても、非常に困難な作業になりそうだ。

 MH370便が消息を絶ってから17日が経過した24日、マレーシアのナジブ・ラザク(Najib Razak)首相は、同機の飛行経路に関する衛星情報の解析に基づき、MH370便はインド洋に墜落したと発表し、乗客乗員の生存を祈ってきた親族らの望みは断たれた。

 同機がなぜ規定の針路から大きく外れたのか、またどのように最期を迎えたのかといった謎を解く鍵は、2つのブラックボックスにある。

 民間航空機は2つのブラックボックスを搭載することを義務付けられている。一つは速度や高度、方向を記録するフライトデータレコーダー(FDR)、もう一つは操縦室内の会話や音声、管制塔との交信などを記録するコックピットボイスレコーダー(CVR)だ。

 理論上、二つのブラックボックスはさらに約2週間、追跡信号を発信している。可聴範囲は2~3キロだ。しかし、遠洋の捜索地域で同機のものと確認された残骸がない現状で、発見するのは至難の業だ。

 MH370便墜落の公式発表がある前から、米海軍は豪パース(Perth)にブラックボックス探知器を搬送していると発表していた。「ピンガー・ロケーター(Pinger Locator)」と呼ばれる重さ35キロのこの探知器は、ケーブルで船体に繋いでけん引させる。音声収集装置を搭載しており、最大で水深6000メートルにあるブラックボックスの信号を探知できる。信号が検知されなかった場合、次の段階は海底面の性状を調査する走査型超音波探知器(サイドスキャンソナー)の出番となる。