【3月25日 MODE PRESS WATCH】2012年に誕生した香水「パルファム プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケ(PARFUMS PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE)」シリーズの新作「ロー(L’EAU)」の発売を記念し、調香師のオーレリアン・ギシャール(Aurélien Guichard)氏を迎え、「香りというデザイン」をテーマにトークイベントが開かれた。

 ジャーナリストの生駒芳子(Yoshiko Ikoma)氏がモデレーターを務めるなか、オーレリアン氏とボーテ・プレステージ・インターナショナル社のナタリー・エロワン カメル(Nathalie Helloin Kamel)氏が登壇。今回の香りが完成するまでのエピソードや、調香師としてのこだわりなどを語った。


■オーレリアン・ギシャール(調香師)

 私は、8代続く調香師一家に生まれました。幼い頃から、父や祖父の姿を見ていたこともあり、いつも香りに囲まれた環境のなかで私が、今の仕事を選んだのもごく自然な流れだったといえます。また彫刻家である母の影響も大きく、香りとデザイン(表現)というキーワードは、私自身のクリエイティビティーに非常に大きな影響を及ぼしています。

 私は香りを決める時、自分の心の揺らめきを大切にしています。過去の記憶を大切にしながら、香りを作っていきたい。ひらめき、インスピレーションは、クリエーションの先にある感動へと繋がっていきます。誰もが違った感覚、感性を持っているので、フレグランスも気楽に生活に取り入れてほしいですね。

 話は変わりますが、実は6歳の頃に、三宅一生さんとお会いしたことがあります。当時、父に連れられて、パリで開かれたファッションショーを観に行きました。その後、大人になった私は、ロードォイッセイの香りと出会い、調香師としての大きな転機を迎えました。そして今回、このような形で「PARFUMS PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」の仕事をすることができました。すべてに運命的なモノを感じますし、幼い頃の夢が叶ったのです。

■ナタリー・エロワン カメル(ボーテ・プレステージ・インターナショナル社)

 我々の仕事は、香りという形にないものをデザインすることです。ブランドの一貫した世界観を香りで表現するのです。感動を香りで伝えるというのは、非常に難しく、例えるならば探偵みたいにどの香りにするにはどんな素材を探すか・・・など、あらゆる調査をしながら、作業や工程を経て完成します。その全体図のなかで私の役割は、指揮者といえるでしょうね。

 仕事をする上で、「イッセイ ミヤケ」ブランドを象徴する、「東洋と西洋の融合」を常に意識しています。またそれぞれの要素を少しずつ取り入れています。香水においても三宅一生さんの残した功績は実にすばらしいものです。

 これまでに発表したロードゥ イッセイ、プリーツ プリーズ イッセイ ミヤケの香りとは違うものを今回は作りたかったのですが、共通する点としては、ある種の中毒性かもしれませんね。香りの虜になるというか・・・・。プリーツ プリーズでは、フロマージュ・ブランみたいな、クリーミーで、豊かな女性らしさを表現しました。

 香りとの素敵な出会いを1人でも多くの方に体験してほしいですね。まずは、似合う似合わないは関係なく、その時自分が心を揺さぶられた香りを身につけてください。
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