【3月22日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王は21日、マフィアの犠牲者の遺族らとの祈りの集いで、マフィアに「悪事を働くのをやめるよう」呼びかけ、組織犯罪に反対するカトリック教会の態度を示した。

 バチカン(ローマ法王庁)近くの教会に1000人を超える人々が参加した祈りの集いでは、殺害された幼児たちや、1992年、車に仕掛けられた爆弾の爆発で殺害された有名な反マフィアのジョバンニ・ファルコーネ(Giovanni Falcone)判事を含め、マフィアの暴力による犠牲者842人の名前が読み上げられた。

 この祈りの集いは、信心深いカトリック教徒を主張するマフィアのドン(首領)たちとの歴史的な結び付きと決別するための教会の試みだ。

「マフィアの男も女も…生き方を変えなさい。悪事を働くのをやめて、改心しなさい」、「現在の道を下り続けるなら地獄行きとなる、それを避ける時間はまだある」と法王は語り掛けた。

 祈の集いに先立ち、反マフィア協会「リベラ(Libera)」の副会長、マルチェロ・コッジ(Marcello Cozzi)神父はAFPの取材に対し、フランシスコ法王が「明らかにしたいのは、福音とマフィア、福音と腐敗、福音と違法は手に手を取って協力することはできないということだ」と語った。

 イタリア南部のシチリア(Sicily)の「コーザ・ノストラ(Cosa Nostra)」、カラブリア(Calabria)州の「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」、ナポリ(Naple)の「カモッラ(Camorra)」などのマフィア組織に反対して多くの神父が時には命がけで闘ったが、イタリアの教会には暗い影もある。 

 マフィアのドンたちは伝統的にミサに出席したり、盛大な葬儀をしてもらったりすることが多く、善良なカトリック献金者を装い、国が支援を怠った地域住民への奉仕に入り込んでいる。(c)AFP/Ella IDE