【3月22日 AFP】チリ南端に位置するマグダレナ島(Magdalena Island)はペンギンの天然の楽園で、繁殖のため毎年数万羽が集まってくる。

 しかし、プンタアレナス(Punta Arenas)市から約50キロ離れたマゼラン海峡(Strait of Magellan)にある同島自然保護区の専門家らは、地球温暖化で島に集まるペンギンの長期存続が脅かされていると警告している。

 マグダレナ島にはマゼランペンギンを含め22種の鳥類が生息しており、うち11種は年中定住している留鳥(りゅうちょう)で、残りの11種が季節により移動してくる渡り鳥。

 マグダレナ島とマルタ島(Marta Island)から成る自然保護区「Los Pinguinos Natural Monument」には毎年約2万3000人の観光客が訪れる。

 過去7年間同保護区で保護官を務めるロベルト・フェルナンデス(Roberto Fernandez)さんによると、ペンギンの最大の天敵はトウゾクカモメとミナミオオセグロカモメという攻撃的な海鳥で、卵や幼鳥を捕食するという。これら海鳥の数は年々増えている。

 同保護区を管理するネフタリ・アロカ(Neftali Aroca)さんはAFPに対し、「現在、夏季が遅く始まり、3月まで続くようになっている。気候変動によりカモメの数が増えているのは間違いない」として、「この増加とペンギンの個体数の減少を直接結び付けるには長期的な研究を要するが、将来ペンギンが危機にさらされる恐れがあるという予測は立つ」と話した。

 この懸念を招く予測は、1月に米オンライン科学誌プロスワン(PLOS ONE)で発表された研究が鳴らした警鐘を確認するものともとれる。この研究は、季節外れの暖かさや豪雨といった異常気象が原因で、相当数の若いマゼランペンギンが死んだとみられると指摘していた。

 マゼランペンギンの世界最大規模の繁殖地、アルゼンチンのプンタトンボ(Punta Tombo)半島で27年間にわたって続けられてきた研究によると、同地では毎年平均して幼鳥の65%が死んでおり、そのうちの40%が餓死で、7%が気候変動の影響だったという。(c)AFP/VITORIA VELEZ