【3月21日 AFP】ロシア皇帝が宝石師カール・ファベルジェ(Carl Faberge)に作らせた「インペリアル・イースター・エッグ」と呼ばれる宝飾を施したイースター・エッグのうち、行方不明となっていた8個の中の1個で、数年前に米国ののみの市でくず鉄業者によって買い取られていたエッグが、来月に英ロンドン(London)で一般公開される。

 ロンドンのアンティーク宝飾品取引会社ウォルツスキー(Wartski)によると、この男性は、このエッグに約3300万ドル(約34億円)の価値があることをまったく知らずに、約1万4000ドル(約140万円)で買い取っていた。男性は、これをくず鉄として売ることで、500ドル(約5万円)ほどの儲けを得ようとしていたが、幸いにも買い手が見つからず、エッグは溶解されずに済んだ。

 このイースター・エッグは、ロシア皇帝アレクサンドル3世(Alexander III)が1887年に皇后マリア・フョードロブナ(Empress Maria Feodorovna)に贈ったもので、宝石で飾られた金の台座に置かれ、スイスの老舗高級時計メーカー、ヴァシュロン・コンスタンタン(Vacheron Constantin)の時計が仕込まれている。50個しか作られなかった「インペリアル・イースター・エッグ」のうちの1つだ。

 ウォルツスキーのディレクターで、ファベルジェが手掛けた宝飾品の専門家のキーラン・マッカーシー(Kieran McCarthy)氏によれば、業者の男性は手元に置いておいても得にならないと思い、ある夜、インターネットで「エッグ」と「ヴァシュロン・コンスタンタン」を検索したところ、エッグの素性に関する英紙デーリー・テレグラフ(Daily Telegraph)の記事を見つけて驚愕した。急いでロンドンに飛んだ男性からこれを見せられたマッカーシー氏も、言葉を失ったという。

 ウォルツスキーは、ある個人収集家のためにエッグを購入したが、購入額は明かされていない。エッグは新たな所有者の好意で4月14日から4日間、ロンドンのウォルツスキーで展示されるという。